世界の森について
世界の森林面積は約40.3億ヘクタールで、地球上の陸地の約30%を占めています。ところが、現在、世界全体で見てみると、とてつもない早さで森林が、毎年520万ヘクタール減少(日本国土の約14%)しています。(2000年から2010年までの平均)。
※環境省パンフレットより
一番の原因は、地球の人口が増えたため木材の使用量も増えて、森の木の成長がそれに追いついていかないということ。また、「世界資源研究所(WRI)」によると、木材生産のための商業伐採、農地など土地利用・転換や、鉱山・エネルギー開発による森林伐採、森林火災なども、大きな原因として挙げられています。
その背景には、急激な人口増加・経済発展という、社会経済的な問題があります。
日本の森について
日本の森に目を向けてみると、世界とは状況が大きく異なります。
日本の森は、“減少している”のではなく、十分な手入れがなされないために、“荒廃している”というのが現状なのです。
それでは、日本の森はどうして荒れてしまったのでしょうか。
第二次世界大戦の戦後復興を目指して、燃料や材木にするために、各地で大量の木が伐採されました。そして、木を伐った後には、成長が早く、加工がしやすいスギやヒノキが植林されたのです。
これが人工林です。
戦後、高度経済成長によって日本が豊かになるにつれ、住宅を建てるための材木が大量に必要となりました。しかし、国内の木材だけでは足りなくなり、やがて海外から、安い木材を輸入するようになりました。
今では木材のおよそ70%を輸入に頼っています。
そして、安価な輸入材に押され国産の材木の値段はどんどん下がり、植林した森を手入れしても不採算。林業の担い手は減る一方で、結果、森が荒れている、というわけです。
森がなぜ必要なの?
現在、森林破壊が注目されていますが、なぜ森が必要なのでしょうか。
森は、大きく分けて「3つの大切なもの」を守っています。
1.空気を作る役割
木は呼吸をすると、なぜ二酸化炭素が減るのでしょうか。
木が酸素を作る行為は光合成によって行われています。
しかし植物にも老朽化があり、年を取ると光合成の能力が落ちていきます。
つまり、酸素の量を増やすには古い木を固定し新しい木を育てる必要があります。
森が荒れると二酸化炭素を吸収する働きも低下し、温暖化防止機能も低下してしまいます。
2.水を貯める役割
森は水を大量消費します。
木は光合成のために水を必要としています。
その水はどこからくるのでしょうか。森の土壌からくるのです。森に雨が降り、その降って来た雨水を溜め込みんでいくことが、森にはできるのですね。
これを、森の「水源涵養(かんよう)機能」といいます。そのために、森は「緑のダム」とも呼ばれているのです。
よい森の土壌は、汚れをろ過し、ミネラルを添加して美味しい水を作りだします。森の落ち葉で出来た腐葉土(ふようど)は、雨をろ過し、多くのミネラル分を含んだ美味しい水をつくりだします。
森は最大で最高性能の浄水・整水器なんですね。
森から生まれた水は、地下水や川の水になって、森から海に広範囲に生息している多くの生物を育みます。
3.土砂流出を防ぐ機能
健康な森では、木々がしっかりと根が張り、落ち葉などが地面を豊かに覆っています。
そのため、雨も土の中にゆっくりと染み込んでいき、雨粒が土をえぐって侵食するようなことはありません。
森には土壌の流出を防ぎ、水が地表を流れていってしまうことを防ぐ、大切な役割があるのです。
森が健康でなくなると、森の防災機能が低下し、土砂崩れが頻繁に起こるようになります。